英女王エリザベス2世が最初に任命した首相はウィンストン・チャーチル氏で、最後はリズ・トラス氏だった。ほとんどの人はこれを進歩とは呼ばない。保守党出身の4人の首相――デービッド・キャメロン、テリーザ・メイ、ボリス・ジョンソン、トラス――の相次ぐ退陣により、かつて西洋の世界で最も成功した政党だった同党は笑いものとなった。労働党はと言えば、ありがたいことに、「コービニズム」(ジェレミー・コービン前党首流の政策)の足かせから解放されたが、12年間におよぶ野党暮らしを経て、その政権担当能力には疑問が残る。政権政党として真価が問われることなく、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)をめぐり分裂した労働党は、現在では、困難な時期に首尾一貫したリーダーシップを発揮するよりも、次の総選挙に勝利するのに有利な立場にある。