認知の歪みは誰しもが多少は持っている。しかし、この認知の歪みが強いと、自分を必要以上に否定してしまい、自己肯定感も育たなくなってしまう。そのため、認知の歪みに気づき、正しく自己認知できるようになる必要がある。

◇自己肯定感と8つの脳番地

 脳には、それぞれ役割に応じた脳番地がある。それらは大きく8つの脳番地に分類できる。

・思考・判断に関する思考系脳番地

・感性・社会性に関する感情系脳番地

・話したり伝えたりすることに関する伝達系脳番地

・体を動かすことに関する運動系脳番地

・耳で聞くことに関する聴覚系脳番地

・目で見ることに関する視覚系脳番地

・物事や言葉を理解することに関する理解系脳番地

・覚えたり思い出したりすることに関する記憶系脳番地

 それぞれの脳番地は単独で働いているのではなく、情報をやり取りしながら連携して働いている。自己認知に関しては、脳全体の中でも特に理解系、思考系、記憶系が働いている。そして、認知の歪みが生じるのは、脳番地の働き方がアンバランスになっているからなのだ。

◇脳に刻まれた「過去」を書き換える

 自己否定感が強い人は、過去の体験(記憶)を意識しすぎている場合が多い。失敗体験などにより、「自分はダメだ」という結論=認識を作り出しているのである。しかし、本来なら失敗は貴重な体験で、人は失敗を通じて成長するものだ。

 過去の記憶に過剰に縛られないようにするための第一歩は「記憶系脳番地」の「過去」を書き換えることである。つまり、失敗体験は貴重な経験だったと肯定することといえる。過去の体験を新たな文脈で理解すると、理解系脳番地が刺激を受けて働くようになる。その結果、今後はマイナスの体験をしても、思考系脳番地でプラスの思考パターンが生まれていく。このようにして、正しい自己認知で自己肯定感を取り戻すことができる。