株価暴落時代に必見「稲盛和夫の投資ルール」、金融機関の甘言にだまされるなPhoto:JIJI

世界中の中央銀行がインフレ退治のために政策金利を引き上げ始め、世界的な景気後退に対する警戒感が高まっている。その中で株価は暴落し、今も不安定な状態が続いている。そんな今の時代に必見なのが、「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏がつくり上げた「投資のルール」だ。ほとんど語られてこなかった稲盛氏の考え方をご紹介しよう。(イトモス研究所所長 小倉健一)

金融市場に吹き荒れる
「パーフェクトストーム」

 ウクライナ危機の長期化、エネルギー価格の高騰、物価高、そして、米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な金融引き締め――。これらによって市場は世界的な株安に見舞われていて、しかもまだ底は見えていない。

 ここで10月11日に実施された投資家イベント「グリニッジ経済フォーラム」での著名投資家の言葉を紹介しよう。米ブリッジウォーター・アソシエイツを世界最大級のヘッジファンドに育て上げた億万長者の投資家、レイ・ダリオ氏は、FRBの利上げに伴って経済の痛みを広げる「パーフェクトストーム(最悪の嵐)」が形成されていると語った。

 他にもダリオ氏は以下のようなことを語った。

「パンデミック時の政府の景気刺激策がバブルを生んだ」

「米国内の対立、広がる貧富の格差に、国際的な戦争が加わってパーフェクトストームを招いた」

「インフレに対抗するためにFRBは利上げを続けるだろう。そして、経済に文字通りの痛みを与えるのは間違いない」

 ダリオ氏の警告も加わって、株式市場はさらなる景気後退に対する警戒を強めている。投資家たちは相場に吹き付ける最悪の嵐に備える必要があるということだ。

 私たち日本人も同様だ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時に人気に火が付いた米国株投資を始めた人も多いようだ。長期的な株価低迷は何とか避けてほしいと願う人も多いだろう。

 これまでの願望にも似た希望的観測が完膚なきまでに打ち砕かれ、投資に対する羅針盤を失い、どうにも身動きがとれないという人も多いのかもしれない。

 では、「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏は、金融資産への投資に対して、どのような考え方を持っていたのだろうか。

 京セラの創業者で、KDDIの前身である第二電電の創業や日本航空(JAL)の再建を成功させた稲盛氏。だが実は、投資に対してはあまり多くを語っていない。同時代にセブン&アイ・ホールディングスの会長兼最高経営責任者(CEO)として経営し、「流通王」とも呼ばれた鈴木敏文氏が、株投資が大好きだったことを告白しているのとは対照的だ。

 さらに稲盛哲学を学んだはずのソフトバンクグループ創業者の孫正義氏に至っては、もはや実業家から投資家へと変貌を遂げた。

 今回筆者は、稲盛氏が自身でつくり上げた「会計原則」をまとめた著書『稲盛和夫の実学 経営と会計』内の小さな一項目に、自身の投資ルールについて述べていたことを発見した。今回はその内容をご紹介したい。