うっかりした一言で職場の空気を凍らせてしまった経験は、誰だって一度や二度はあるでしょう。その言葉を受け取った相手の気持ちを想像すれば、もっと別の素敵な言い方があったはず!『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』(ダイヤモンド社)では、対上司、対部下、対同僚、対お客様…それぞれの場面別で話し方の失敗例と成功例を解説しています。コミュニケーションの現場で揉まれてきた元客室乗務員が教える「魔法のフレーズ」集から、すぐに使えるものをピックアップしてお伝えします。コミュニケーションひとつで職場の雰囲気は明るくなり、あなたもきっと信頼される存在になれる!

【上司の心得】部下の成長を妨げるリーダーの最悪の言葉とは?Photo: Adobe Stock

任せたならば、否定しない

【上司の心得】部下の成長を妨げるリーダーの最悪の言葉とは?

<NG>それはイマイチだな。もっとこうして

<GOOD>お! おもしろいね~。やってみてよ

「主体性を発揮して仕事をしてほしい。そんな人が集まるチームづくりをしたい」と思っている組織は多いです。私はそのための組織づくりのお手伝いをすることもあります。

 これまでトップダウンが多かった組織の場合、体制を変えるのに苦労します。なぜならメンバーの皆様は「意見を出す」ということに慣れていない、会社も「任せる」ということに慣れていないからです。一見、スピード感が落ちるように感じられると思います。

 上司の皆様にお願いすることは、とにかく、最初は見守ってあげてください、ということです。皆様見守ってくださるのですが、行動計画を立てたところで「そもそも、その計画自体必要か?」と言って、ひっくり返してしまう場合もあります。そうすると、メンバーの心理としては「結局、上司は自分の思い通りの内容にするじゃないか」「だったら無駄な会議は止めて、もうトップダウンで指示してくれたらいいのに」となります。

 一方、多少、「これはどうかな」という内容だったとしても、自分たちで立てた行動計画には、自分たちの思いが入っています。実行されれば、「自分たちの意見も採用されるんだ」という自信につながります。それを繰り返しながら、次に「行動計画の質」を高めるのです。よほどのことがない限り、任せる際には、「お! おもしろいね~。やってみてよ」とまず伝える。そこを越えられるか否かが主体的な組織づくりを左右します。

※当記事は、『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』から抜粋・編集したものです。

比嘉華奈江(ひが・かなえ)
株式会社Life is Love代表取締役。日本コミュニケーション能力認定協会本部トレーナー/上級トレーナー
大分県出身。1998年、沖縄へ移住。日本トランスオーシャン航空株式会社にて14年間客室乗務員として勤め、安全と顧客満足の追求、そしてチームづくりは人づくりであることを現場で学び・実践。2012年、沖縄では初となる働き方改革コンサルティング会社を設立。「あらゆる多様性を可能性に変える」という理念のもと、組織開発コンサルティングや次世代リーダー育成、チームビルディングなどの実績多数。またダイバーシティや女性活躍推進などの研修も行う。クライアント企業は医療・不動産・観光・製造販売・IT通信・エネルギー・保育・建設など多岐にわたる。企業支援数500社以上。登壇回数は2000回を超える。『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』がデビュー作