そう話すのは、介護市場向けの支援サービスやコンサルティングを行うリクシス代表取締役社長CEOの佐々木裕子氏。総務省の『平成29年就業構造基本調査』によると、介護・看護のために離職した人は約10万人。一方、ビジネスケアラーは少なく見積もっても360万人はいるはず、と佐々木氏は話す。

「リクシスの調査(*)では、要介護認定を受けた親をケアしているビジネスパーソンは50代の男性が中心という結果が出ました。彼らは親と離れて暮らし、きょうだいも少なく、働きながら両親のケアをしています。結婚している場合もパートナーには自身の親がいるので、それぞれが自分の親を介護している家庭が多いですね」(佐々木氏)

(*)…調査期間:2019年5月末~2022年5月末/従業員500名以上の企業従業員/サンプル数:ビジネスパーソン3万0878名/調査機関:株式会社リクシス

 かつては同居する義父母を配偶者が介護する「嫁介護」世帯が多かったが、『国民生活基礎調査』によると、2007年以降は「嫁介護」の割合と「子」が介護をする割合が逆転。2019年は同居している親の介護者が「子」の割合が20.7%、「子の配偶者」は7.5%にとどまっている。

「近年は、親だけでなく、おじやおばの介護を行うケースもあり、担い手が物理的に不足しています。その結果、介護する世代がひとつ下がり、祖父母の介護を20~30代の孫が行うようになっているのです。ヤングケアラーの増加は、少子高齢化と密接に関わっています」(佐々木氏)

 今後も何の対策も講じなければ、日本の人口構成上、ビジネスケアラーやヤングケアラーがさらに増えていくという。