『週刊ダイヤモンド』11月26日号の第一特集は「高収益&高年収 業界企業地図」です。最新版の平均年収ランキングに映るのは、上位勢が高年収のみならず、代表的な高収益企業でもあること。実は、年収が高い方が株価パフォーマンスも良いという実態も浮かびます。そこで本特集では、ビジネスモデル分析に加え、現場で働く社員らの声、各種のランキングなどを通じて、高収益の仕組みから待遇のリアル、出世・キャリアの実像まで一挙に明らかにしました。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
世界中で賃上げスト多発も「怒れぬ日本人」
貧乏も御用組合も受け入れる不思議の国
「給与が上がらないことに対し、日本の労働者はもっと怒るべきだ」。ある外資系証券のエコノミストは憤る。

何しろ、グローバルに物価高の波が押し寄せる中、世界では今年に入り賃金引き上げを求めるストライキが多発している。英国では過去30年で最大規模という鉄道ストが起きたほか、米国ではサービス業などでストが急増。フランスでは国鉄や空港、韓国では運送業界などでストが勃発してきた。
一方、日本では組合側がストを敢行し、表立って経営陣に強い要求を突き付ける例はほとんど聞かれない。日本では、経営側へ実質的にほぼ言いなりの“御用組合”が跋扈しているからか、自社に楯突くのをよしとしない風潮が根強いからかーー。理由はともあれ、他国と比べると、ジリ貧真っ逆さまへの窮乏化を黙して受け入れるかのような“不思議の国”ぶりが著しいのだ。
確かに日本では、上で挙げた国々に比べると、物価高が相対的に落ち着いてはいる。とはいえ、直近では総務省公表の10月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)が前年同月比で3.6%上昇。約40年ぶりという記録的な水準にあるのだ。
しかも、日本は給与が他の主要国より低いだけに、インフレ率が低めでも家計へのインパクトは大きく出やすいとの見方もある。