福利厚生はコロナ禍で激変した。テレワークの恒常化で、社員食堂はガラガラ、せっかく造った独身寮に誰もいないという光景も。各社では見直しが始まっている。特集『高年収&高収益 勝ち組企業大解剖!儲けの秘密と本当の待遇』(全18回)の#12では、テレワーカーでも社食を使えるサービスや、将来的に子どもを持ちたい社員を支援する「卵子凍結」など、最新の福利厚生のすごさを紹介する。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
コロナ禍でガラガラの社員食堂
ニーズを捉えた新サービスが続々導入
他社で働く友人との会話で弾むネタは、収入だけではない。社内ジムに家賃補助、豪華な社員食堂……。福利厚生の話題も大いに盛り上がり、時に羨望の対象になる。それだけ、社員のモチベーションと生活を支える重要な柱なのだ。
その福利厚生に大きな変化の波が押し寄せている。
上図は、2016年と21年の法定外福利費(企業が独自で定める福利厚生)の変化を示したグラフだ。
一目で分かるのは、全項目で福利厚生費が減少していることだ。福利厚生表彰・認証制度「ハタラクエール」委員長の西久保浩二・山梨大学教授によれば、「コロナ禍で従業員の利用が減少したこと」が最大の理由だという。
典型的なのは「文化・体育・娯楽」の項目だ。「旬刊福利厚生」誌を発行する労務研究所代表取締役の可児俊信・千葉商科大学会計大学院教授は、「レジャーは大きく減っている状況。社員が集まるタイプのイベントもできなくなった」からだと指摘する。
福利厚生の王道である社員食堂も同様だ。「採用力強化のために社員食堂を充実させた企業は多かったものの、コロナ禍で稼働率が下がり、無用の長物になってしまった」(西久保氏)。
住宅の福利厚生はコロナ前から長期的に低下傾向が続いていたが、今後テレワークが恒常化すると、独身寮や社宅の見直しがさらに加速することも考えられる。
ただし、福利厚生は今後も不滅だ。「住宅や社食のニーズ自体は変わっていない。変わったのは、支援の仕方だ」と話す西久保氏。決して、役割が減ったわけではない。実は、福利厚生へのアンテナが高い企業ほど、次々に新しいサービスを導入し、他の企業をリードしているのだ。
ここからは、海辺のオフィスにリモート社食、卵子凍結など、驚きの新しい福利厚生のサービスを紹介していこう。