欧州のロシアへのエネルギー依存は長年くすぶり続けてきた懸案だった。ロシアによるウクライナ侵攻がそれを危機に変えた。欧州諸国がこの不当な戦争に対抗しようとしたとき、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はエネルギー供給を突然削減することで、欧州大陸にいる銃後の市民に別の攻撃を仕掛けた。これにより、欧州経済が重大な混乱に陥る危険が生まれた。これらはすべて、世界の秩序を転覆させようと決意した独裁的な指導者に頼ることの危険性をわれわれに示している。エネルギーを巡る闘いが日本で全く同じように起きることはないかもしれないが、日本の政策立案者はエネルギーをめぐる欧州の脆弱(ぜいじゃく)性から学ぶことができる。日本は欧州のような苦境を回避することはできるが、そのためには迅速に行動しなければならない。今月1日に初会合が開かれた「日米エネルギー安全保障対話」は、両国が共有するエネルギー安全保障の目標を強化する絶好の機会となる。