「自分の成長が感じられて、就活の励みになる手帳」に
カレンダーのフォーマットをどうするかという議論と並行して、手帳のコンセプトが追求されていった。
「(手帳には)未完成な自分たちが成長していく過程が記録されるといい」「(同級生である)就活生に向けて、私たち(プロジェクトメンバー)からの贈り物という意味を込めたい」「就活では凹むことも多いだろうから、手帳を見れば自分を好きになって、元気が出るものになるといい」などなど……さまざまな意見が出るなか、「自分の成長が感じられて、就活の励みになるような手帳」というコンセプトが出来上がり、メンバー全員での話し合いの積み重ねは表紙デザインの検討にも生かされていった。
「成長していく姿を表す“新芽”をデザインのモチーフにしたい」「“日の出”の写真は成長や進化を感じるのでは?」「“プレゼント”は人と人との交流の象徴。就活での出会いを新鮮な喜びとするようなラッピングのデザインはどう?」――「成長」というキーワードをもとに、メンバー全員が自分の思い描くイメージを具体化してアイデアを出していく。また、コンセプトを表すモチーフ探しだけではなく、表紙のデザイン自体にコンセプトを実感させる仕掛けを考える学生もいた。
「未完成の自分を表現し、完成や正解を探すという意味合いを込めて、パズルのデザインはどうか?」「目標が達成できたら色を塗っていける塗り絵にして、内定が出る頃にはきれいな絵が完成する表紙がいい」「塗り絵にするならレンガはどうか? 積み上がっていく感じで、レンガの雰囲気は手帳にもマッチするはず」――自分たちと同学年である就活生への想いがあふれていく。
学業やサークル活動、アルバイトで忙しいなか、学生たちはイメージに合った写真を探したり、デザインのラフを描いたりして、表紙案を考えていった。提出された案は、制作サポートメンバーの一人であるエディトリアル・デザイナーの青木汀さん(ダイヤモンド・グラフィック社)によって、プロの手が入ったデザインとして、学生たちに提示されていった。
そして、制作メンバーである6名の学生たちは会議に参加するだけではなく、自分の表紙案のプレゼン方法を自宅で考え、会議に備えるといった姿勢も厭わなかった。