「場所柄、若い人や外国人が多い。外国人はそもそもアンテナショップには興味がない。それは“メイドインジャパン”が好きで“メイドインチイキ”はある意味どうでもいい。私たち日本人が外国を訪れても、地域の違いが分からないのと一緒である。しかし、サンシャインに行く途中に『日本文化っぽいもの』に目がつくため、外国人も訪れると考えられる」と田中社長。

 銀座5丁目にある「いわて銀座プラザ」は、店内に入ってすぐのところに青果物コーナーがある。新鮮な果物や野菜などを求めて定期的に訪れる人も多く、たくさんのアンテナショップがある銀座の中でも、常に利用率上位の店舗といえる。

 銀座一丁目にある「おいしい山形プラザ」は、何といっても果物の宝庫。ラ・フランス、りんご、桃などの季節には豊富に並び、さくらんぼの時期には行列ができるほどの人気である。また、漬物も豊富に揃っており「山形のだし」や「山形青菜(せいさい)」なども購入できる。

田中社長は、「東北地方は、東京からの距離も近いため新鮮な農産物を出品しやすい。特産品直売所のような感覚で人気があるのではないだろうか」と話す。

アンテナショップは物産だけではない!
観光や定住促進の発信も

 百貨店などで行われている物産展とアンテナショップとの大きな違いは、アンテナショップでは、地域の売れない商品を並べてマーケ―ティングに利用しているところにある。

 また、近年は旅行案内や地域の情報を発信するアンテナショップが増え、観光や定住促進などをするパンフレットコーナーが設置されている。当然ながら、旅行を目的としている人もいるが、「あの道県のあの行列店に行きたい」「本店にしか売っていない商品を買いに行きたい」と特定の場所に行くためにパンフレットを見にくる人もいるという。

 アンテナショップの人気は、普通のスーパーなどにはない商品があること。店舗によってそれぞれの道県の雰囲気も異なり“味”がある。そこにアンテナショップの面白さが詰まっているのである。

「アンテナショップは、道県らしさが出ている店舗の集客率が高い。逆に集客率はあるけれど上位にランクインしていないところは、その“県らしさ”が出ていないと推測できる」と田中社長は結論付けた。

 コロナ禍により旅行が制限されたり自粛したりすることが増えた。そのため、アンテナショップを訪れることで旅行気分を味わえることも、ひとつの特典である。今後、ますます人気が上昇することは明らかだろう。

(フリーライター 西嶋治美)