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【精神科医が教える】「配属ガチャ&上司ガチャ」にハズレたと嘆く人に“決定的に欠けた視点”

「上司ガチャ」にハズレたときの対処法

子どもは親を選べないことをガチャにたとえた「親ガチャ」という言葉がありますけれど、部下は上司を選べないという意味の「上司ガチャ」という言葉も使われることもあります。

たとえば、上司になにかを提案すると、「私が上の人間に土下座してお願いすればいい話ですからね」なんて、面白くもない冗談なのか、皮肉たっぷりに部下に罪悪感を抱かせるような、後味の悪い話し方しかできない上司もいるようです。

プライベートなら会わないようにすればいいのですが、上司だそういうわけにもいかないから厄介です。そこで、どうしたらいいか? 基本的には相手にしない。だからといって、失礼な態度をとるのではなく、表面上は「申し訳ありませんが、よろしくお願いします」と丁寧に受け答えして、心の中で相手にしないということです。

やることをやってくれたら感謝

そもそも職場の人間関係は、仲よくなる必要はないんです。仕事が円滑に進められればいいので、まずはその点を念頭に置いておくとよいでしょう。そのうえで素直になるということも大事です。

上司にお願いごとをして、先ほどのような態度をとられると、普通は絶句して固まってしまうでしょう。そうしたら、その素直な反応を見せてもいいと思うんです。そうすると、普通の感覚であれば、その上司本人がちょっと恥ずかしくなったり、「ちょっとやりすぎたかな」と感じるはず。

そう感じなかったとしても、やることをやってくれるなら、どういう態度をとられたとしても、ひとまず感謝です。そのうえで自分が頼まれごとをしたら、こんな皮肉っぽい態度はとらないようにしようと、反面教師にすればいいんです。

一歩引いて人間観察してみる

もう1つの視点は、人間観察をすること。「世の中には、こんな性格の歪んだ人もいるんだな」と事例研究する感覚ですね。「昔、こういうことに関して目に遭ったんだろうな」「自分を守るのに必死なんだろうね」「承認欲求が満たされていないのかな」というケーススタディの視点をもってみるんです。

やりすぎると自分の性格も悪くなりかねませんが(笑)、「こういうタイプの人なんだろうな」という視点をもつことは、自分の心を守るための経験にもなりますから、決して悪くないと思います。いずれにしても、反発していらぬハレーションを生まないように、表面上は丁寧に受け答えしておきましょうね。

本稿は『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。