中小企業だからこそ“タイプ3”が効果的に行える

 最後に、学生の採用活動に苦労している中小企業はどうすればいいのかを福重さんに聞いた。

福重 中小企業は大手企業に比べて、人事部門の人員も限られており、今回の“インターンシップ改革”への対応に不安を感じている採用担当者は少なくないと思います。しかし、実は規模の小さい企業の方がタイプ3のインターンシップとは相性がよいはずです。大手企業は採用予定数が3桁になることもざらで、早い段階から母集団を形成し、採用活動のステップを一歩ずつ上がっていかないとうまくいきません。それに対し、数名から十数名ほどの採用である中小企業は、タイプ3のインターンシップで、学生を職場にそのまま受け入れることもできるはずです。

 母集団の形成を小さく始めるならば、社員の紹介や出身大学とのリレーションなどからインターンシップ参加者を募集し、5日間といわずに、それ以上の期間のインターンシップを実施してもよいでしょう。そのスタイルはインターンシップ本来のあり方に近いはずで、インターンシップ終了後も、参加学生との関係維持を図っていくことも考えられます。募集からプログラム最終日まで、接触する社員全てが「うちは中小企業だから」と謙遜のつもりであったとしても、自分たちを卑下せずに誇りを持って学生と接することも大切です。そうすると大手企業以上に効果のあるインターンシップを実施することができます。

 新卒採用において、インターンシップはあくまでも手段の一つに過ぎません。企業としては、自社に適したモチベーションの高い人材を確保し、働き続けていただくことが目的であり、そのために、自社としてはどのようなプログラムや採用スケジュールを組み立てればよいのか、外部のリソースも活用しつつ知恵を絞っていただきたいと思います。インターンシップの実施にしっかり向き合えば、良い成果が得られるはずです。

25卒採用“インターンシップ改革”で、人事担当者が知っておきたいこと