在宅での介護が無理になった時に慌てないためには、元気なうちに、老人ホームに入ることを想定して、準備しておく必要があります。特集『最適な介護施設選び&老人ホームランキング』(全21回)の♯15で紹介するチェック表を利用すれば、あなたが自分で判断できない状態になっても、家族や周囲の人があなたの意思を尊重した支援や施設選びができるようになります。(公益財団法人Uビジョン研究所理事長 本間郁子)
医療機関が経営母体の特養は要注意!
入居者をピンポン球のように扱うケースも
人生100年時代、できれば住み慣れた自宅で最期まで過ごせることが一番の幸せでしょう。しかし、認知症の表れ方や体の状態によって、地域の介護サービスが十分でなければ、在宅での介護にはいずれ限界が来ます。
その時になって慌てないためには、元気なうちに、老人ホームに入るかもしれないことを想定して、準備しておく必要があります。
次ページにあるチェック表に記入しておくことで、あなたが自分で判断できない状態になっても、家族や周囲の人があなたの意思を尊重した支援や施設選びができるようになります。
チェック表は、特養だけでなく、介護付き有料老人ホーム、サ高住、グループホームなどに入る際にも応用が利きます。
つい最近も、自立者中心の老人ホームの入居者から相談を受けました。そこはクリニックが併設されていて、月1回、診察を受けることを強制されるようです。費用がかかるし、元気だから大丈夫と言っても、しつこく連絡が来て、仕方なく診察を受けているとのこと。うまく断る方法はないか、という相談でした。
入居者の要介護度が高い特養は年1回の健康診断が義務付けられていますが、それ以外にも検査を受けさせられたり、入院させられたりすることがあります。
とくに医療機関が経営母体の特養はその傾向が強い。入居者を“ピンポン球”と称して、病院に空きがあると特養から移し、病院が満床になると特養に戻す。ほとんどの方が認知症なので、本人の意思を明確に示すことができず、家族も経営者側の言うがままです。
また、高齢者の多剤(6種類以上)の服用は有害で副作用が表れやすいといわれています。意識不明になって救急車で運ばれてくる高齢者は薬の副作用によるものが多いと、救急医療センターも警告しています。
施設や医療関係者の指示通りにサービスを受けるのではなく、自分の最期くらい、元気なうちにどうしたいのか、真剣に考えてもいいのではないでしょうか。
次ページでは、あなたが自分で判断できない状態になっても、家族や周囲の人があなたの意思を尊重した支援や施設選びができるようになる、「施設版エンディングノート」といえるチェック表を掲載した。ぜひ参考にしてもらいたい。