ウォール街のキャッシュ(現金・現金同等物)志向が再び強まっている。調査会社EPFRの1月18日までのデータによると、世界のマネーマーケット・ファンド(MMF)は過去4週間に約1350億ドル(約17兆7900億円)の純流入を記録した。2020年5月に終了した4週間に約1750億ドルの純流入を記録して以来の高水準だった。MMFは米国財務省短期証券(Tビル)やコマーシャルペーパー(CP)などの短期債券に投資するミューチュアルファンドの一種で、企業や個人は手持ちの現金を保管する当座預金口座のように利用することが多い。ここにきてキャッシュの比率が高まるのは、昨年急落した株と債券が最近反発しているとはいえ、長続きしない可能性を懸念する投資家の警戒心の表れだ。米連邦準備制度理事会(FRB)当局者が利上げでインフレに対抗すると繰り返し述べる中、多くの投資家は市場のボラティリティーが当面続くことを予想する。