SMBC日興証券Photo by Satoru Okada

市況悪化で減収減益が相次ぐ証券業界。相場操縦事件で裁判が続くSMBC日興証券は、最終赤字が244億円で過去最悪となった。事件の影響で法人顧客が離脱したことも響いたが、それだけではない“弱点”がある。市況の先行きが見通しにくい中、再生に向けた軌道を描けるのだろうか。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

第3四半期最終損失は過去最悪
ライバルに遅れた“弱点”は何か?

「もし単独で上場していれば、経営危機だ」――。大手証券会社5社の2023年3月期第3四半期決算で唯一、最終赤字を計上したSMBC日興証券の関係者はこう危機感をあらわにする。

 赤字幅も大きい。第3四半期までの累計で過去最悪の244億円、第3四半期(22年10月~12月)だけでも149億円を計上した。

 22年の年明け以降軟調な株式市場の影響を受け、証券5社とも前年同期比でおおむね減収減益だが、日興以外の4社は最終黒字を確保した。

 22年に会社を揺るがした相場操縦事件の余波は今なお収まらないが、復活に向けて軌道修正できるのだろうか。その兆しと、ライバルに比して埋めがたい“弱点”を分析した。