SBIホールディングスへの出資、相場操縦事件を起こしたSMBC日興証券への行政処分と、2022年は話題に事欠かなかった三井住友フィナンシャルグループ。特集『総予測2023』の本稿では太田純社長に、クレジットカードを核とする新たな収益戦略の展望や、自身の後継者に求める“条件”などについて、洗いざらい聞いた。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
日銀が2022年12月、長期金利の変動幅を拡大
23年はマイナス金利も解除されるか
――2023年、日本はマイナス金利の解除に向かうでしょうか。
物価がさらに上昇してインフレが進行すれば、日本銀行もインフレ抑制策を検討せざるを得ないでしょう。ただし、急激な利上げは日本にかえってマイナスに働くのではないかと思います。経営が悪化する企業が増えるでしょうし、国家の財政面を考えても懸念が大きい。そんな中、現実的に取り得る選択肢の一つが、マイナス金利の解除だといえそうです。
しかし、われわれとしては収益計画に利上げの影響は織り込んでいません。また、マーケットや景気がどうあれ、戦略の大きな方向性を変えるつもりもない。
――キャッシュレス決済が増え、金融業界における楽天グループやソフトバンクグループの存在感が高まっています。個人向けのリテールビジネスで、メガバンクグループに勝ち筋はあるでしょうか。
流通から金融まで幅広く事業を展開する楽天グループやソフトバンクグループは、メガバンクグループの個人向けビジネスにとって脅威だ。太田社長も、「現状のまま何も変えずに放っておくと凌駕される」と認める。次ページでは太田社長に、クレジットカードを核とする新たな収益戦略の展望を聞くとともに、相場操縦事件を起こしたSMBC日興証券の再建や、自身の後継者に求める素養などについても疑問をぶつけた。