SMBC日興証券Photo by Satoru Okada

SMBC日興証券は相場操縦事件など深刻な不祥事を受けて、近藤雄一郎社長の役員報酬6カ月カットなどの処分を発表。近藤社長は「(再建の)道筋をつけて身を引く」と表明した。原因を探ると、1990年代に日本を揺るがした「証券不祥事」のトラウマさえよみがえる。証券業界はいつになったら正常化されるのか。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

社長が6カ月無報酬の超異例処分
山一證券に共通する日興の病巣とは?

 1997年に自主廃業した山一證券の清算処理に取り組む社員を描いた清武英利氏のノンフィクション『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社)によると、同社では顧客の大企業と取引をするホールセール(法人営業)部門出身者が社内の枢要を占め「社内権力」と呼ばれていた。

 これに対し、社内の違法行為を監視する業務監理本部(通称ギョウカン)は「稼げない者の掃きだめ」として軽んじられ、出世コースから外れた社員ばかりが配属されていた。

 一方、山一と共に旧四大証券の一角を占めたSMBC日興証券は今年、相場操縦事件で当時の副社長ら幹部が逮捕・起訴されるという未曽有の不祥事を引き起こした。

 その原因は、「しんがり」で描かれた山一の構図と必ずしも同じではないが、共通している部分はある。

 日興は11月4日、10月に一部業務停止など厳しい行政処分を下した金融庁に対し、改善措置命令を受けた親会社の三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)と共に改善策などの報告書を提出。日興の近藤雄一郎社長は役員報酬を6カ月間全額カットとするなど、首脳陣の処分を発表した。

 市況の悪化もあり、10月に公表された日興の2023年3月期中間決算は、SMFG傘下入り後最大となる94億円の最終赤字を計上。一連の問題で顧客が取引を控えたことによる収益の減少額はおおむね250億円に達する。

 業績悪化の中で、組織の解体的な見直しを迫られる日興を蝕んだ要因とは何か。日興はここで本当に膿を出し切り、成長への軌道に回帰できるのだろうか。