おそらく多くの会社では、すでに営業担当者の個々の力量に頼るのをやめ、パターン化したアプローチを徹底し、統計的な確率論で業務を推進するようになってしまっているのだろう。このパターンのトークと企画書で何社にアプローチしたら、何社に実際に会うことができ、そうすると何社は受注できる、といったような営業支援ツールのはじき出す統計データに基づき、ただただ決められたことをマシーンのように遂行しているのだろう。個々人の工夫などに時間を費やすほうが無駄なのだ。
また、個人も自分で思考をすることを放棄し、一社のアポイントをとるために、本当にHPを読む込む時間を使うよりも、決められた方法にしたがって、アプローチ社数を増やしたほうが、良いと納得しているのであろう。
さらには、顧客の側も、ほとんどの営業担当者がこのパターン化されたアプローチをしてくることに慣れきってしまっており、何も予習して来ず、「ところでオタクは何の会社でしょう」などと臆面もなく聞いてくる相手に対して怒ることも最近はしない。期待レベルが低くなっており、「ああ、またか」と思うだけなのである。
よって、営業担当者は自分のアプローチのスタイルが相手に不快感を与えていることも知らず、この機械じみたアプローチの方法を延々と続けられるのである。かくして、本日も会社の窓口メールアカウントには、似た文面の営業メールがスクロールしきれないほどに溢れ、あきらかにHPを見ていないのに見たと言い張る営業電話が朝からかかり続けるのである。