低レベル競争なので
簡単にライバルを出し抜ける
しかし、ちょっと立ち止まって考えてほしい。相手もあなたを判断している。顧客は、相手がこちらのことをどのくらい理解しているかを最初に判断する。何も知らないというのは論外として、いくつかのレベルにわけて認識するものだ。
第一レベルは、何をやっているか、どのような経歴の人間かくらいはある程度理解しているだろうと察せられる段階である。次に第二レベルは、第一段階を踏まえたうえで、業界他社と比べてどのような差別化を図っているか、何が重要な経営資源なのか、過去どんな実績があるかなどを「ググ」り、著書を講読するなどして把握しているだろうと判断できる段階である。
そして、第三レベルは、第一、第二レベルは当然として、そのうえに、現在こちらがどんな懸案を抱えていそうか、将来どのような挑戦しようと思っているか、(当人は認識していないかもしれないが)、これから、こんな課題を抱えそうだ、等の現在から未来にわたる問題についても想像をめぐらせたうえで対面しようとする段階である。
現状、私の体感では、第一レベルにさえない人が6割。第一レベルが3割。第二レベルが1割、第三レベルはほぼ無し、くらいの出現確率だろうか。
だからこそ、ちょっと手を動かし、頭を働かせて、事前に予習をし、まだ見ぬ相手について想像することができる人には楽勝の時代である。
第二レベルくらいのことをするのは本来なら当たり前だと思うが、ほかがとにかくひどいから、第二レベルでも十分に優秀だと認知される。メールを打つ前にちょっと調べてから、調べたことがわかる文面に変えただけで、会える可能性は十分に高まるし、最終的な成果はずいぶん向上するだろう。
第三レベルの人が来てくれたら、小躍りしてすぐに仕事を発注してしまうだろう(第二レベルくらいにある人で、会う前に相手のことをだいたいわかった気になって、実際に会って話をしても、調べてきたことの「答え合わせ」に終始してしまい、せっかくの対面の機会を生かせないという例もあるが、たいていの人は、はるかそれ以前の段階にとどまっているのだから、まったくその心配はない。安心して予習してほしい)。
しかし、こう言われるかもしれない。「おっしゃる通りだと思うのですが、最初のアプローチの社数を一定数実施することは評価をされるための必要条件なんです。いろいろ調べたり考えたりして時間を費やしたら、アプローチ社数の目標が達成できません」と……。心から同情する。
ここで、ある一冊の本を紹介したい。