アンドリュー・チョウ氏が暗号資産(仮想通貨)のビットコインをあれこれいじり始めたのは高校生の頃だ。両親は何も知らず、銀行口座も持っていなかったこの10代のプログラマーは、ウェブサイトを立ち上げ、「ビットコインのために働きたい」と書き込んだ。人々がチップを払えるように彼はウォレットのアドレスを添えた。7年たった今、チョウ氏は時価総額が5000億ドル(約67兆円)近いビットコインの基盤となるソフトウエアに変更を書き込める数少ない「メンテナー」の一人だ。彼らの果たす役割はビットコインにとって極めて重要だが、大勢のビットコイン所有者にその正体はほぼ知られていない。チョウ氏を含め5人のメンテナーたちは、オープンソースプログラム「ビットコイン・コア」の保守管理を担っている。このプログラムはネットワークを構成する数千台のコンピューター上で、ビットコインのデジタル台帳を最新の状態に保っている。グループのリーダーを長く務めた人物が16日に離脱し、メンテナーの数は6人から5人に減った。