インフレ&金利上昇到来! 騙されないための投資術#17Photo by Masato Kato

ネットショッピングや広告閲覧、ゲームなどでポイントがたまり、現金や電子マネーなどに交換できることで人気の「モッピー」。運営会社のセレスは急成長してきたが、足元では暗号資産下落で業績が伸び悩む。特集『インフレ&金利上昇到来!騙されないための投資術』(全22回)の#17では、創業者の都木聡社長に、モバイルサービスとフィナンシャルサービスの二大事業について、今後の戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

モッピーのユーザーはまだまだ伸びる
日常生活との接点を強化へ

──モッピーのポイ活(ポイント活動)が人気です。そもそも2005年の段階でポイントサービスを始めたきっかけは何ですか。

 04年(モッピーを開始する前年)にNTTドコモが「おサイフケータイ」を発売しました。ソニーのFeliCaチップが携帯電話に入り、EdyやSuicaでの決済が初めて実現したんです。FeliCaを使ったリアルな電子マネーと、モバイルインターネット上の電子マネーがつながればいいと、そこで強く思いました。

 例えば、「着うた」サイトで課金したポイントで電車に乗れて、コンビニのジュースも買えるとすごく便利ですよね。ただ、着うたの課金と電車、コンビニで共通して使えるインターネット上のポイント(電子マネー)がまだなかった。だから、自分たちで作ろうと。

 モバイルポイントだから、名前はモッピーです。携帯ポイントにしなくてよかったですよ。携帯電話がなくなったんで(笑)。

──まさに携帯電話がなくなったとき、サービスはどのように切り替えましたか。

 このときは衝撃でした。モッピーは携帯電話で始めたサービスですから。

 ただ、スマートフォンが台頭しても、基本的には何も変えていないんです。携帯電話のポイントサイトで1番でしたが、スマホサイトを作ると、ユーザーがスマホにどんどんシフトしていきました。

──デバイスにかかわらず会員数が順調に増加したのは、どこに強さの源泉があったのでしょうか。

 当初から、ユーザーもポイントの発行を自分たちで管理したいという意識は強かったです。実際、提携企業に切られるリスクがありますから。

 例えばTポイントは、TSUTAYAの閉店が加速し、ドトールコーヒーやファミリーマートなどが続々と他のポイントを入れ出したので、結局ヤフーに切られましたよね。

 自前のユーザーとポイントを持っている所が一番強いんです。

──アクティブユーザーは現在約400万人ですが、どこまで拡大できるでしょうか。

 少なくとも2000万人は十分可能だと思います。中期経営計画で掲げた、26年までに700万人の目標もそれほど難しくはありません。

──ユーザーを増やすために、サービスをどう拡充していきますか。

 一つは、モッピーポイントをそのままリアルで使えるようにしたい。

 簡単に言うと、フィンテック機能を入れることによって、アプリ上でモッピーポイントをそのままQUICPay(クイックペイ)やVisaタッチなどで決済できるようにします。春ごろには実現したいですね。

 もう一つは、リアルな行動によってモッピーポイントがたまるようにしたいです。例えば、ご飯を食べたり歩いたりするとポイントがたまる機能に挑戦したいと思っています。

──二大事業のうち、主力のモッピーを含むモバイルサービス事業が好調な一方、22年12月期決算で経常利益は前期比8割減の6.8億円と低迷。最大の要因として、フィナンシャルサービス事業が暗号資産価格の下落で経常利益を12.6億円下押ししました。経営に与えるインパクトも大きいのではないでしょうか。

足元では暗号資産の価格下落により業績が低迷するセレス。次ページでは、「(暗号資産の)価格変動に一喜一憂しても仕方がない」と語る都木社長が、ブロックチェーン市場の可能性に賭ける理由を聞いた。