主力のソフトウエア品質保証事業で圧倒的な地位を築き、急成長を続けてきたSHIFT。コンサルティングや開発の領域にも触手を伸ばし、さらなる牙城を狙う。特集『インフレ&金利上昇到来!騙されないための投資術』(全22回)の#19では、その成否を占う「ニつのリスク」を業界アナリストの分析を基に展望する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
さらなる飛躍の可否を占う
市場が注目「2つのリスク」
「ここにきて“成長痛”に直面しているのではないか」──。ソフトウエア品質保証事業を軸に急成長を遂げてきたSHIFT。しかし、今期第1四半期(2022年9~11月)決算で営業利益が前年同期比7%減となったことを巡り、みずほ証券の小林亮アナリストが抱いた所見だ。
何しろ、これまでの業績の伸び方はすさまじいものがある。同社は14年11月に東京証券取引所マザーズ上場。その年の8月期から今期(23年8月期)会社予想の10期平均で、増収率が50%を上回るという爆速の成長ぶりを示していたのだ。
こうした強さを裏付けるように、本特集の#13『「5年で急成長」企業ランキングの上位勢に共通する強みは?SHIFT、セレス、アトラエ…』でも、堂々の首位となったSHIFT。上場来の株価上昇率は約16倍に及び、今や成長株の中でも経営の質が高い日本有数の「クオリティグロース株」として市場で広く知れ渡っていたはずの同社に、一体何が起こっているのだろうか。
実は、冒頭の「成長痛」というフレーズが示すのは、一段の飛躍への期待の裏返しでもある。同社が目指す次のステップとは、独壇場を築いてきたソフトウエア品質保証から、さらに上流の開発やコンサルティングといった領域にも業容を拡大することだ。
このもくろみが奏功すれば、クライアントから受け取る単価の上昇などが期待でき、非連続的な再成長を果たして一段と収益力に磨きがかかるかもしれない。
もっとも、構造改革に労苦は付きもの。まさに社名通り、次の成長ステージへと移行(SHIFT)するためには、乗り越えなければならない壁が立ちはだかっているのだ。
次ページでは、同社の再成長を占う上で市場が関心を寄せる「二つのリスク」について、業績ドライバーとなるKPI(業績評価指標)に着目しながら解説。同社の強さの源泉と併せ、徹底的に分析していこう。