インフレ&金利上昇到来! 騙されないための投資術#15Photo:PIXTA

急速な円安が一服した円相場は今後、どのように動くのか。特集『インフレ&金利上昇到来!騙されないための投資術』(全22回)の#15では、鍵となる日米金融政策やインフレ動向から、「円安再加速」シナリオの現実味について読み解く。その上で、新興国通貨などの方向性を展望する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

足元は円安に振れているが
今後の想定はむしろ“逆”

「円安加速第2幕はいつ起きるのか」――。少し前まで非常に変動の激しい局面が続いただけに、そのように気をもむ個人投資家は多いかもしれない。

 何しろ、下図の通り外国為替市場では、円が対ドルで昨年10月に一時1ドル=152円目前に迫り、約32年ぶりの水準まで下落。日米金利差の拡大を意識した円売り・ドル買いが続き、史上まれに見る急ピッチな円安劇が進行した。

 政府・日本銀行による為替介入などを経て、円安のピークアウト後は、一時130円超えの水準まで揺り戻しが発生。その後、今年1月下旬以降は再び、円売り・ドル買いが強まる流れとなっている。

 円相場を見通す上での最大の焦点は、引き続き米国の金融政策とインフレの行方。今春に新体制となる日本銀行の動向に注目する向きも多いが、やはり世界一の経済大国である米国の高インフレの行方と、グローバル経済への影響が多大なFRB(米連邦準備制度理事会)の動きこそが当面、円相場の命運を左右しそうなのだ。

 コロナ禍の後に急騰した物価の勢いを抑えるべく、FRBは急ピッチで利上げに動いてきた。米国の物価高の勢いがやや鈍化したとの見方などから再び円売りが優勢となり、足元の円相場は1ドル=136円程度で推移。円安「再加速」の兆しと感じる人もいるかもしれないが、事はそう単純ではない。

 市場関係者に展望を聞いたところ、現下の想定はむしろ上記の“逆”に近いぐらいだ。最重要ファクターである金利とインフレの動向から為替を読み解くと、当面は円高リスクの方が、メインシナリオという見立てが聞かれる。ただし、そこには、ある条件も存在する。

 次ページでは、長年為替市場に携わる相場のプロ2人の見通しを踏まえて、円相場の行方をひもとく。その上で、米国の利上げ局面で苦戦を強いられてきた新興国通貨などの方向性を展望していく。