インフレ&金利上昇到来! 騙されないための投資術#16

特集『インフレ&金利上昇到来!騙されないための投資術』(全22回)の#16では上方修正ラッシュとなった総合商社の今後を予測。わが世の春を謳歌する総合商社だが、業績は資源高による瞬間風速という声もあり、株価も高値警戒感が漂う。だが大和証券の永野雅幸シニアアナリストは、総合商社は従来イメージの景気循環株から変貌しており、三つの理由から中長期で有望だと指摘する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

業績も株価も絶好調の総合商社
今から買っても大丈夫なのか

「連続で最高益更新」「期中に利益と配当を増額修正」「株価も上場来高値を更新」――。

 資源高を追い風にわが世の春を謳歌しているのが総合商社だ。第3四半期決算についても若干の強弱はあるものの、市場の期待値が高い中で事前予想以上のポジティブな内容だった。

 とはいえ投資を検討する場合、この勢いが来期以降も続くのかがポイントになる。特に今期は資源高が業績をけん引したため「追い風参考記録」という声もある。また、各社とも直近1年で株価が50%程度上昇しており、高値警戒感も漂う。

 もともと総合商社は、海運や半導体、鉄鋼などの業種と同様に「シクリカル」セクターに分類させていた。シクリカルとは景気の循環的な変動のことで、これらの業種は景気次第で大きく業績が上下にブレることが特徴だ。

 それだけにシクリカル銘柄を業績ピークで買ってしまうと高値づかみとなり、大きな損失を出しやすい。実際、総合商社5社の来期の市場予想は減益である。

 だが、大和証券の商社・資源担当の永野雅幸シニアアナリストは総合商社セクターに対して「強気」と判断している。なぜならば、「資本主義の歴史の中でも初めてかもしれない」(永野氏)という事態が進行中だからだ。

 業績絶好調の総合商社を取り巻く地殻変動とは何か。次ページでは総合商社各社の事業や配当政策を分析しながら、トップアナリストが「強気」と判断する三つの理由を解説する。