インフレ&金利上昇到来! 騙されないための投資術#21Photo by Kazutoshi Sumitomo

特集『インフレ&金利上昇到来!騙されないための投資術』(全22回)の#21では、PR会社国内最大手ベクトルの西江肇司社長にインタビュー。SNSや動画、インフルエンサー活用など手広く企業の広報支援を担い、さらなる拡大を目論む同社の青写真とは?かつて週刊ダイヤモンドが「ステマ(ステルスマーケティング)」を指摘し、業界で波紋を呼んだ存在でもある同社のトップとして、“ステマ”を巡る見解のほか、M&Aや海外展開、新時代のPR戦略などを語った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

“フランス料理”ではなく
「マクドナルド」になりたい

──「PR(パブリックリレーションズ)・広告」事業を核に急成長を遂げ、本特集の成長株ランキング(#13『「5年で急成長」企業ランキングの上位勢に共通する強みは?SHIFT、セレス、アトラエ…』)では上場企業9位に入りました。自社のビジネスモデル上の最大の強みはどこにあると考えていますか。

 あるとき海外のPR会社は、日本の業界他社のように、PR業だけやっているわけではないことに気付きました。日本のPR市場規模は約1000億円にすぎませんが、広告市場は約6兆円。そこで、PR以外の領域にも、“モノを広める”(編集部注:クライアント企業の商品・サービスを従来のPR・広告手法に捉われずにターゲットへ届ける、といった意味合い)観点で手を伸ばし始めたことが成長の背景にあります。

 また、今は時代がPRを重視する流れにあるといえます。これまでは企業の広告を回すのが広告代理店、企業のニュースやコンテンツを扱うのがPR会社でしたが、SNSが急速に発達し、動画の活用も進む中で、インフルエンサーなどを通じて、直接的に消費者へモノを広められる時代になってきました。

 そのためのテクノロジーも発達してきた中で、僕らが追い付けていることも大きいですね。タクシーのデジタルサイネージもそうだし、DtoC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)、ライブコマースなどもやっている。時代に合わせ、そうしたところを全て手掛けている特徴があります。

 料理で言えば、電通や博報堂など大手広告代理店はフランス料理ですが、僕らが狙うのはマクドナルド。あまりお金をかけずにスピーディーさを求める顧客の目線に立って、一気通貫で行えるのが僕らの戦略で強みです。そうした会社は、他にほとんど見当たりません。

──最近のPR手法として、具体的にどんな事例がありますか。

次ページでは、広告の巨大市場にまで攻勢をかけるベクトルの西江社長が今後の方針を明らかに。最近のPR手法を具体例で示した上で、かつてダイヤモンド編集部から「ステマ(ステルスマーケティング)」を指摘されて波紋を呼んだ存在でもある同社トップが、ステマに関する見解を回答。さらに、M&Aや海外展開、5~10年後の展望に至るまでを語った。