リフレクションには、様々な捉え方と形態がある

 リフレクションの捉え方は多様であるが、代表的な考え方をまとめると、様々な形態がある。第1に、リフレクションの創始者といわれている、哲学者で教育改革者のジョン・デューイの考え方を紹介しよう。デューイは、リフレクションとは「検証されていない知識や個人が持つ信念を積極的、永続的かつ注意深く考察することで、更なる結論を導くものである」と定義している。デューイは、経験と学習した成果である教訓をつなぐ概念として科学的方法の必要性を指摘しており、その際に「リフレクション」が重要な働きをすると述べている。科学的方法とは、まず、経験に基づいて仮説を立て、次に行為の結果を観察し、仮説を検証する。最後に検証を踏まえて内省し、真の意味を引き出し、その後の状況に備えることである。デューイは、この内省こそが経験の知的組織化の精髄であり、訓練された知性の真髄であるとし、経験を内省し、絶えざる再構成をし続けることが成長の本質であると主張している。

 例えば、新人の営業パーソンと、その先輩が新規商談にのぞむケースを考えてみよう。訪問前に二人は相談している。

新人:ホームページを確認したところ、この会社は中期計画で○○を目指しているので、当社のA商品が刺さるのではないですかね。(仮説)

先輩:わかった。中期計画とA商品をどのようなストーリーでつなげるのか、言ってみて。

新人:○○○○

先輩:わかった。それで商談にのぞもう。(検証)

【商談後の、電車の中】

先輩:今日の商談を、どう見る?

新人:最初に仮説を立てた、中期計画との結び付けはうまくいかなかったですね。その代わり、中期計画を見て提案したのは評価してもらえたようで、いろいろと課題感について、お話を聞くことができました。(内省)

先輩:そうだね、何を学んだ?

新人:お客さんに寄り添う姿勢の大切さですかね。(真の意味の抽出)

先輩:そうだね、お客さんの気持ちになって考えることができるのがA君の強みだね。この強みを生かして、次の商談に取り組むために何をやる?

新人:はい、次の商談先には、ちょうど大学の同期が入社しているので、中期計画の浸透度合いなどをヒアリングしてみます。

 よくあるOJTのシーンであるが、デューイの考え方を、現場にリンクさせて解釈すると、このような感じになるのではないだろうか。