バイデン政権は2022年に公表した核政策指針「核態勢の見直し(NPR)」の中で、米国の戦略における「核兵器の役割縮小」を約束した。米国の対抗勢力は異なる考えを持っている。ここ数日、米国と敵対する四つの核保有国すべてが核能力を急速に向上させていることが国際的なニュースとなっている。ロシア・イラン・北朝鮮・中国の4カ国だ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2月21日、同国と米国の間に残る最後の軍備管理条約「新戦略兵器削減条約(新START)」の履行停止を発表した。これは、1972年の戦略兵器制限条約締結後初めて、ロシアの核戦力に交渉を通じて設けられた制限がなくなることを意味する。いずれにしても、米国は2020年3月以来、ロシアの核戦力の現地査察を行っていない。最初は新型コロナウイルスの感染拡大によるもので、その後、ウクライナに侵攻したロシアが協力を拒んだためだ。これを受けて、米国務省は今年1月、ロシアが新STARTを「順守していない」と宣言した。