諜報心理を活用した
人材の見極め方とは

 諜報活動においては、コミュニケーションを行う上での空間の演出や、相手の視覚や聴覚、会話を操作するテクニックがある。これを私は諜報心理と呼んでいるが、そのテクニックをどのように使っていくのか、採用側の視点で解説していく。

<空間演出>

 空間の演出において、相手との距離は非常に重要である。

 例えば、ウクライナ侵攻において、プーチン大統領の長い机が話題となった。側近との会話では長い机の両端にプーチン大統領と側近が位置し、その距離の長さから、プーチン大統領は「新型コロナウイルスを極度に恐れ、孤独な権威者を象徴している」とも言われた。

 このような相手との空間的距離は心理的距離にもつながる。特に、空間的距離と心理的距離が不一致の場合は相手にストレスがかかる。例えば、さほど親しくない心理的距離がある人と空間的距離が近い場合、不快感を覚えるだろう。

 そこでこの“距離”をうまく利用し、例えば応募者のストレス耐性や自信・信念を見たい場合は、あえて空間的距離を長くとり、ストレスの負荷を上げても良いだろう。

 また、ある程度の関係性が構築できた応募者との間では、空間的距離を近くし、親近感を持って本音が聞きやすい環境を作るのも良いかもしれない。

 このように、面接などにおいて、必ずしもすべての相手と同じ距離を設ける必要はない。SPIなどの性格検査の結果に応じ、距離を演出するのも手だ。