<視覚情報>
採用側にとって、応募者から得られる視覚情報は非常に多い。その中でも、対面時に得られる視覚情報について整理する。
例えば、面接時の応募者の座り方は、採用側の皆さんが当然見るだろうし、応募者も背もたれに背をつけずに正しい姿勢で面接に臨むだろう。
だが、ここでよく見るべきは、コミュニケーション時の仕草である。
特に、うそをついている時やストレスを感じている時は、如実に仕草に表れる。
これは、私が刑事時代、殺人・強盗・放火事件などの強行犯への取り調べでもよく見て取れたものだが、具体的には次のような仕草がある。
(1)顔を触る
無意識に顎を触ったり、頬を触るような仕草は、言葉を発する口元を隠したい心理の表れであるほか、表情をわずかにでも隠したい心理が作用する。またストレスを感じ、その意識を逃がすために顔をかいたりする。
(2)まばたきが増減する
相手との視線の交錯をさけようとする心理で、特にうそをついている最中はまばたきによって視線を遮るか、逆にまばたきの増加を隠すために目を開いてまばたきが減るといった傾向が出る。
(3)せき払いをする
せき払いをしている間に質問への回答を考えたり、うそのあとの“間”を埋める心理である。
(4)鼻をすする
せき払いと同様の心理だ。
これらの仕草を見ることで、相手の思考やストレスのかかり具合が見て取れるが、特に怪しいと思った経歴やスキルの部分で質問を投げかけた際は、相手の仕草をよく見てほしい。
また、なんてことのない質問でストレスがかかっていたり、面接後半の疲れが出てくるタイミングで、これらの仕草がどの程度表れるかで、ストレス耐性の一部が見てとれるだろう(もちろん、あくまで判断要素の一部であることにご留意願いたい)。