中国の習近平国家主席の米国に対する新たな「口撃」は、2大国の関係がいかに不安定化しているかを物語っている。  米中はつい数週間前まで、外交的停戦に近いものに向けて歩み寄りを見せていた。ジョー・バイデン米大統領の特使が北京を訪れ、政府間のハイレベルな対話に向けた枠組みを確立し、長年にわたり悪化した両国関係の安定化を図る予定だった。  そうした中、中国の偵察用と疑われる気球が北米を横断しているのが確認され、関係に新たな影を落とすことになった。修復に向けた北京訪問は延期され、両国関係はさらに深刻化。非難合戦と緊張化の悪循環に陥った。