贈与税の非課税枠110万円を超えた生前贈与をしても、資産の額や子供の人数によっては相続税の軽減効果が上回り、節税につながる。ただし、恩恵を享受するためには、適切な額を贈与する必要がある。節税効果が最大となる贈与額は幾らなのか。特集『さよなら!生前贈与』(全9回)の#4では、資産額や子供の人数別の「節税効果」をまとめた。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
110万円の非課税枠を超えた「駆け込み贈与」
節税効果は資産や子供の数、贈与額で変わる
2023年度の税制改正大綱で、生前贈与を使った相続税の節税術は大きく制限される見通しだ(本特集#1『【スクープ】「生前贈与潰し」法改正の中身入手!年110万円贈与の節税効果激減、65年ぶり変更で大増税へ』参照)。
そして、今回の制度改正で特に狙われているのは、資産3億円超の富裕層の生前贈与である(本特集#3『資産3億円超が財務省の標的!?富裕層の「問題行動」が相続税大増税で狙われた!』参照)。
資産が多く相続税率が高くなる富裕層の場合、贈与税の非課税枠110万円を超えた生前贈与を行い、贈与税を納めたとしても、相続税の節税効果の方が大きい場合がある。
例えば3億円の資産があり、配偶者に先立たれて子供1人がいる親の場合、1回の生前贈与での節税効果は最大で約314万円だ。
ただし、贈与から3年以内に亡くなり相続が発生した場合は、この生前贈与は相続財産に加算されて相続税の課税対象となり、節税効果は失われてしまう。そして、今回の改正後は、相続財産に加算される期間が3年から7年へと延長される見通しだ。
改正前に生前贈与する「駆け込み贈与」は、制度改正前の今だからこそ使える有効な対策の一つだ。そして、節税の恩恵を享受するためには、贈与税率と相続税率の差を狙った、適切な額を贈与する必要がある。節税効果は、資産額や子供の人数、贈与額によって異なるのだ。
幾ら贈与すれば、節税額が最大になるのか。ダイヤモンド編集部は、資産額と子供の人数別の、生前贈与の「節税効果」をまとめた。
次ページでは、駆け込み贈与の節税効果の早見表をお届けする。