2023年1月26日に開催された「ダイヤモンド・オンライン 経営・戦略デザインラボ」のオンラインイベント「複雑・不確実な時代の 新規事業&プロジェクトを成功に導く組織とマネジメント」。特別講演に、宇野大介氏(ライオン歯科材事業推進部)、島雄輝氏(リクルート経営コンピタンス研究所コンピタンスマネジメント推進部長)、四家千佳史氏(コマツ執行役員スマートコンストラクション推進本部長兼EARTHBRAIN会長)が登壇。新規事業のビジョンをどう描き、現場をどう変革するか。それぞれの具体的事例を基に論じた。(編集/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介、撮影/堀哲平)
ライオンのイノベーションラボ
「新製品の開発」が目的ではない理由
ライオン歯科材事業推進部、ライオン研究開発本部イノベーションラボ所長(2018~22年)。1990年、ライオン入社。歯磨剤の開発、クリニカブランド ブランドマネジャー、オーラルケア製品の生産技術開発を担当。2018年1月、イノベーションラボの立ち上げと同時に所長就任。ライオンが掲げるパーパス「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」に向けた、新規事業の創出をミッションとするイノベーションラボを率いる。23年1月より、ライオン歯科材事業推進部。現在、未経験の領域に挑戦する試行錯誤、一喜一憂の日々を送る。趣味は、読書、ゲーム、SF、アニメ、ウイスキーなど。新たな挑戦をし続けるチームづくりや人づくりを生業とする(23年3月時点)
宇野大介(以下、宇野) 今回、私が昨年まで所長を務めていたライオンの「イノベーションラボ」の事例(23年3月時点)についてお話しさせていただきます。
イノベーションラボのミッションは、次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーを目指して新規事業を創出することです。具体的には、イノベーションの質、量、スピードを高めるために、ライオングループ全社のハブになる、また、従来の事業部や開発研究所という体制を超えた驚きのある新規事業をつくることです。
イノベーションラボ立ち上げ当初は社内でそのようなことをしている人は誰もいませんでしたから、何一つわからない中でスタートを切りました。
そこで最初にイノベーションラボの「ビジョン」を作りました。といっても、どのようにビジョンを決めれば良いかさえわからなかったので、社内外のいろいろな人たちにお手伝いいただきました。
最初のビジョンを作成してから3年、そろそろ変えようという時期になり、2回目はデザインワークも含めて一から作り直しました。
そこでできたビジョンが、「私たちは種をまきます。人々が、自分らしく、生き生きとした毎日を過ごせるように。これからの未来が、もっとワクワクする世界になるように。」というものです。