寿命を延ばすという医療に
幸せを感じられなかった
明確に決めたのは、医学部5年生、6年生のとき。座学から離れて臨床研修になり、医療の現場に立ってみると、寿命を延ばすという医療に幸せを感じられなかったんです。
寝たきりで管を入れられて機械に生かされているようなかたちで寿命を延ばした分、年金と医療費の問題が深刻になっていくというのが現実。だったら見た目のコンプレックスを解消して見た目を含めたQOL(生活の質)を上げて、70年、80年を質よく生きたいというニーズに応えたいと思いました。
患者に選ばれればいい
専門医資格はコスパが悪い
――専門医資格を取らなかったのはなぜ?
1秒でも早く参入するのがビジネスの鉄則です。受験勉強に3年、医学部に5年、初期研修2年。思い立ってからもう10年以上を費やしている。時間的なこと、年齢的なこともありますが、専門医資格の存在を患者さんは知らなかったりするので、患者に選ばれるためのものとして持つにはコスパが悪いなって。
専門医資格を持つのが当たり前っていうのは大学病院や大きな病院の人たちの感覚であって、持ってない医師はいくらでもいる。人手が足りない診療科とか、医師不足の地方とかは資格がなくても就職できるし、開業したら患者に選ばれればいいわけですから。
専門医資格って、眼科、耳鼻科、形成外科、整形外科とか人気の診療科で都市部に就職したいなら有用な資格っていうのが私の分析です。
――勤務医を経験しないまま、いきなり開業というのは驚きました。
美容系で勤務医になろうとしたんですよ。でも採用試験で全落ちしたんです。