今なら目指せる! 医学部&医者#21Illustration by Yukiko Kikutani

大学医局が医師の派遣を制限するようになって四苦八苦の一般病院。負担が増す勤務医は何を思うか。特集『今なら目指せる! 医学部&医者』(全24回)の#21は、一般病院の勤務医による覆面座談会。「僕ら常勤勤務医よりアルバイトで来る医師の方が労働単価が高いっていうのは悲しいよ」「丼勘定の丸め給料は、働いたら負け」「バーンアウトする人が出てきてもう悲惨」と赤裸々に労働環境や給与の実態を明かす彼ら、「自分の子供が医師になると言ったら?」の問いに何と答えるのか。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

「週刊ダイヤモンド」2023年6月3日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

夜勤でバイトに8万~10万円
僕ら常勤医は宿直料2~3万円

――働き方改革により2024年から医師の時間外労働の上限規制が適用されます。現場にいい影響は出ていますか。

A医師(男性内科医) むしろ大変。大学医局が派遣する医師の数を制限してきて、夜勤の派遣が減っちゃいました。その分を今いる医師たちで回さなきゃいけない。もともとギリギリの人数だったのにですよ。

 他の一般病院も状況は同じ。大学医局が人を引き揚げたことで、地域医療にはマイナスの影響が出始めました。長い目で見て働き方改革が正常化する過程の、一時的なひずみと信じたいところだけど。

B医師(男性外科医) 上限規制に備えた「宿日直許可」っていうのがくせものですよね。病院がこれを役所に許可申請しておくと、当直の労働時間が上限規制のカウント対象外になる。つまり抜け穴。

 さらに最悪な病院は当直手当すら払いたくないからって、自己研さんの時間として病院にいろなんていう横暴ぶりをかましている。

 あと僕ら常勤勤務医よりアルバイトで来る医師の方が労働単価が高いっていうのは悲しいよ。一般病院の常勤医の給与は市場価格が反映されていないから、夜勤したアルバイトには8万~10万円支払われるのに対し、僕らは宿直料2万~3万円で済まされちゃう。

C医師(男性内科医) 安い人件費でなんとかしようというのは、奴隷制度みたいなものでしょ。持続可能性のない発想。このままだと「人材不足、拙劣な人材育成手法→過重労働→離職→地域医療崩壊→地域崩壊→日本崩壊」ですよ。

A医師 月末になると事務長が翌月の当直が埋まってないって真っ青になってやって来るんだけど、最近僕ら常勤医はばからしくなってプライベートの予定を変えてまで引き受けなくなりました。しょうがないから土日は単価上げますとか言い出してきたんだけど、だったら普段から上げろよって話。腹は立つけど、まあ少しずついい方向に変わってきたのかな。

――同僚の間で収入格差はあるんですか。