今なら目指せる!医学部&医者#1Illustration by Yukiko Kikutani

2024年度入試で最も注目すべき“大穴”の国公立大学医学部は「奈良県立医科大学」と、医学部受験指導の第一人者は断言する。特集『今なら目指せる! 医学部&医者』(全24回)の#1では、この第一人者が注目する“穴場”を学校推薦型選抜(旧推薦入試)、一般入試からそれぞれ5大学選出。MARCH合格レベルでも狙える医学部はどこか。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

「週刊ダイヤモンド」2023年6月3日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

来度入試の“大穴は”奈良県立医大
前期の2次試験で学科試験を廃止

 2024年度入試で最も注目すべき“大穴”の国公立大学医学部はどこか。

「それは奈良県立医科大学」と、医学部受験指導の第一人者であり、医学部予備校の創医塾京都代表、箕輪誠氏は断言する。この年から、一般入試の前期で2次試験の学科試験が廃止されるからだ。その代わりに小論文試験が加わり、あとはこれまで通りに面接が行われる。学力は1次の大学入学共通テストによる基礎学力の評価だけになる。

 定員は22人と少ないが、「2次の学力に不安がある受験生にとっては大きなメリット」と箕輪氏。後期試験で学科試験を課さない大学はあるが、これは共通テストの高得点組による敗者復活戦のようなもの。共通テストで高得点が取れなかった受験生には少々無理があった。

 前期となれば話は変わってくる。成績優秀者は他の大学に出願するので、“大穴”になるというわけだ。推薦、一般前期、一般後期の全てで、学科試験を共通テストだけに絞って国公立医学部を受験することも可能になる。

 こうした動きは、学力一辺倒をやめて優秀な学生を集めるために入試が多様化していく流れに乗ったものだ。旧帝国大学をはじめ入試難易度上位の大学は強いブランド力があり、超優秀層が大量に志願するので、入試方法を変えなくても従来通りの学力評価をしておけば事足りる。対して、中下位層の地方大学は工夫を求められた。

 奈良県立医科大はこれまで後期試験の定員を増やすことにより、前期で京都大学や大阪大学に落ちた優秀層を拾えた。しかし、それでは大学に愛着を持つ学生は集まりにくい。そこで受験学力以外の思考力などで光るものを持ち、本命の前期試験に臨んでくれる学生を呼び込もうというわけだ。

 奈良県立医科大しかり、総じて私立より難しい国公立医学部にも“穴場”はある。穴場を見極め、戦略を持って挑めば、従来合格圏外とされてきたMARCH理系レベルの受験生も勝ち得る。

 では、穴場はどこなのか。次ページでは、箕輪氏が選んだ穴場の国公立大医学部を公開。穴場の中でも独自の選考基準を満たしたものを学校推薦型選抜(旧推薦入試)、一般入試それぞれから5大学選出した。