ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。そういった中で「世界の国々をざっと理解できる」「聞いたことない国でもイメージできる」と支持されている本がある。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。
本書は世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋して世界の国を紹介する。
アフリカ北部ってどんな地域?
アフリカ北部は、古代エジプト文明の発祥地として知られます。
東はエジプトやスーダンから、西はモロッコや西サハラまで広がるこの地域は、サハラ砂漠の北側に位置し、サハラ砂漠以南のアフリカとは大きな違いがあります。
文化的宗教的にイスラーム圏であり、白色人種系のアラブ人が多く、アラビア語を公用語としていることが特徴です。
とくに、チュニジアからアルジェリア、モロッコに至るまでの地域はマグレブと呼ばれます。
アラビア語で「日の沈むところ」という意味で、アラビア語を使う地域から西方を指して使われたものです。
マグレブには、ベルベル人と呼ばれる民族が古くから住み続け、7世紀以降にアラビア半島から移動してきたアラブ人が、イスラームを広めました。
アラブの春
アフリカ北部は、モロッコを除いて、16世紀からオスマン帝国の支配を受け、他のアフリカ諸国と同様、19世紀末までにフランス、イギリス等によって分割され植民地となりました。
多くの国は1950年代に独立し共和制もとられますが、指導者の専制的な政治に対する反体制運動が続き、2010年代には「アラブの春」と呼ばれる民主化運動が展開されました。
石油が経済を支える
西アジアとは文化や民族ばかりではなく、砂漠の広がる自然環境や石油の大産地であることも共通しています。
砂漠の中から産出する石油が経済の大部分を支えている国もあります。
また、小麦や果実を生産する地中海式農業や、オアシスやナイル川周辺での灌漑農業が行われています。
ヨーロッパの旧宗主国とは地中海の対岸という近さもあって、貿易をはじめいろいろな面で現在も強い関係があります。
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)