ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
チュニジアってどんな国?
チュニジアはアフリカ大陸北部に位置し、南東はリビア、西はアルジェリアと国境を接します。
北東部が地中海に面し、南北に850kmと細長い国土をもつ国で、アトラス山脈の東端が延びている北部は地中海性気候ですが、内陸に入るとステップ気候を経て南部の砂漠へと移っていきます。
北端には、古代、地中海沿岸からわたってきたフェニキア人が建設しローマ帝国によって滅ぼされた都市カルタゴの遺跡があり、世界遺産に登録されています。
1881年からフランスの統治を受け、第二次世界大戦後、1956年に王国として独立。翌年に共和国が成立しました。
民主化運動「アラブの春」の発火点
1980年代から続いた専制的な政治に反対して、2010年に始まった反政府デモが翌年に政権を崩壊させ「ジャスミン革命」と呼ばれました。その動きはアラブ世界全体に広がり「アラブの春」と呼ばれる民主化運動に展開しました。
その後の体制づくりにおいて、イスラームの保守派と世俗派の対立を調整した「国民対話カルテット」が、2015年にノーベル平和賞を受賞しています。しかし、イスラーム過激派によるテロがその後も続発し、資源に乏しく観光収入に依存している国としては痛手となりました。
砂漠の多いアフリカ北部の中では、国土に占める農地の割合は高く、小麦やオリーブ、ナツメヤシ等を生産しています。また、安い人件費を生かして衣類や機械類を生産し、ヨーロッパに輸出しています
チュニジア共和国
面積:16.4万㎢ 首都:チュニス
人口:1181.1万 通貨:チュニジア=ディナール
言語:アラビア語(公用語)、フランス語
宗教:イスラーム(国教)スンニ派99%
隣接:リビア、アルジェリア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)