キングスター工場ならではの「評価制度」を実施
「HRオンライン」がキングスター工場を見学して感じたのが、その「風通し」の良さだ。コミュニケーションが「働きやすさ」につながり、挨拶と笑顔にあふれた職場が印象的だった。離職者の少なさからも、キングスター工場の素顔がうかがい知れる。
吉田 働きやすく、働きがいを感じている方が多いのでしょう。仕事上の悩みがあっても、労働組合があるし、本社には相談窓口もあります。そうした機関の存在も従業員のみなさんを安心させます。
それから、働きやすさを高めるために、本社の評価制度を工場の環境に合うよう調整し、実施しています。自分が所属する部署の責任者としっかり話し合って目標を決めることで、コミュニケーションも深まりますし……制度導入から2年ほどですが、しっかりと浸透してきたと感じています。
どんな企業のどんな職場においても、目標設定や振り返りの「評価」においては、評価される側と評価する側に溝や壁ができがちだが……。
吉田 実は、最初は、「評価制度」に対して、多くの反発があり、途中で目標設定をボイコットする方もいました。一次評価は、各部署の責任者が行うのですが、その指導は大変でした。「私には評価ができない」と、役職を降りた方もいたほどです。それでもあきらめずに、まず、私と評価者となる方がコミュニケーションを重ね、この評価制度導入の意義や意図を共有し、従業員のみなさんをフォローして、真摯に、一生懸命に向き合いました。
キングスター工場は、従業員年齢の幅広さ、雇用形態の多様性に加え、ダイバーシティ&インクルージョンで欠かせない「障がい者の活躍」もある。
吉田 110名中14名が何らかの障がいのある方です。それぞれの方が、製造や流通部門、職人として働いています。精神疾患、身体障がい、発達障がい、知的障がい……さまざまな方がいらっしゃいます。障がいのある方を雇用して、初めて気づいたことは多いですね。障がいのある方がその部署にひとりふたりいるだけで、部署全体の空気感が温かくなり、みんなに「人を思いやる気持ち」が芽生えます。また、障がいのある方の一所懸命働いている姿を見て、みんなが「頑張ろう」という気持ちになります。職場にとって良いことばかりなので、障がい者支援センターから紹介されてきた方にも積極的にお会いすることにしています。