誰もが、自信と誇りを持って仕事をしていくために

 実は、キングスター工場は、これまで全てが順風満帆の道のりではなく、工場存続の危機もあった。2000年初頭から10年ほどは、新卒採用も中途採用も行わなかったという。

吉田 そのときの人材採用のブランクで、当工場には管理職が少ないという悩みがあります。また、障がいのある方の雇用も最初から万全だったわけではなく、私が工場長になったばかりの頃は、従業員どうしのコミュニケーションがうまくいかずに定着率が悪かったりしました。いろいろな課題を改善していき、工場内に良い空気がだんだん醸成されていった感じです。現在は、工場の縮小や閉鎖などはあり得ない話で、むしろ、工場の規模を拡大しようと本社と話し合いを進めています。ただ、そうなると、新卒者を含めて人材をたくさん確保しなければなりません。うれしい悩みが生まれています。

 キングスター工場の人材採用サイトはこうメッセージしている。

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全ての人は、何かしらの才能に溢れています。周りの人と違っているからいいんです。きっとあなたの個性を生かせる仕事が見つかるはずです。挑戦してみたい!やってみたい!の気持ちがあれば、業務は入社後にしっかりお教えしますので安心してください。皆さんが開発したメガネがテレビやCMなどを通じて、大々的に販売されて、街中でかけている人を見る日が来るかもしれません!そんなワクワクを仕事にしてみませんか?
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 インタビューの最後に、ワクワクを仕事にするための吉田さんの考え方と“人材育成のポリシー”を尋ねた。

吉田 私が、当工場の幹部にいつも言っているのは、「一日のうちの8時間、どうせみんなが職場に来ないといけないのなら、その8時間をどうすれば気持ちよく働けるかを考えよう」ということです。職場で、従業員のみんながストレスなく、なおかつ、働くことが自分の誇りや自信につながるように、と。本社や店舗勤務の方が当工場の様子を見に来ることも多いですが、みなさんが口を揃えて、「(工場で)働いている人たちがかっこいい」とおっしゃる。誰もが生き生きと働いている姿を見て、感銘を受けるようです。私自身も、海外と国内のあらゆる工場を見て回りましたが、このキングスター工場をかっこいい工場にしたい思いが強く、そう成長してきている手ごたえがあります。

 そして、私自身が心がけているのは「あきらめない」こと。仕事を続けていくうえでさまざまな課題が出てきますが、何事もあきらめないことが大切。特に、「人」へのあきらめはしません。みんながご縁あって入社されるわけで、私には雇用者としての責任がありますから、共に働く仲間たちをとことんフォローして最後まで一緒に働き続けていきたいです。