広末の夫、キャンドル・ジュンは聖人?モラハラ夫?世論の「180度」手のひら返しが起きた理由Photo:Sports Nippon/gettyimages

女優・広末涼子さんの夫、キャンドル・ジュン氏の会見が話題になったが、 その後「週刊女性」でジュン氏の暴行および不倫を告発する記事が出て、さらに注目が集まった。会見時は「聖人夫」と呼ばれたが、それとは、正反対の彼を伝える疑惑の出現は世間に強い衝撃を与えた。あくまで “疑惑”ではあったが、語られた詳細に生々しい迫力があり、さらに疑惑をジュン氏が一部認めるような発言をしていたことから、好意的な世論は一転、一気に批判的なトーンに傾いている。世間はいかにして翻弄されたか。告発記事が出る前から会見を懐疑的・批判的に見ていた人はどのような視点を有していたか。これらについて書いていきたい。(フリーライター 武藤弘樹)

会見直後と「告発記事」後で
異なる世論

 筆者は、恥ずかしながら今回のスキャンダルの件を、「暴行告発記事」から知った。だから、ジュン氏が6月18日に開いた「聖人会見」をさかのぼって見返したとき、「暴行・不倫したかもしれない人」という色眼鏡なしで見ることはできなかった。
 
 バイアスはかかりまくっていて、この状態で物を見るとすべての事象にこじつけが可能となる。つまり会見にまつわる端から端までが手の込んだ茶番に見えてしまって、こうなっては客観的なジャッジは自分にできないと判断した。

「会見を開くことについて妻の了承を得ていない」という部分についてだけは、会見がパートナーのプライベートな内容にまで言及していたので、道義的見地から疑問に思ったが、それもすでに抱いているバイアスと無縁のものだと確信することはできなかった(それくらい慎重な立場に立とうと努めていた、ということでご理解いただきたい)。
 
 この会見が開かれた当時の世間の反応は、さかのぼって調べた限りだと、先に書いた通り氏への支持が多い印象であった。基本的に氏は、不倫をされた側の被害者であって、苦境の中で人間らしい葛藤にさいなまれながら「妻を責めはしない。子を守りたい」といったスタンスに立とうと努力する氏を、世間は喝采とともに応援したのであった。