丁寧に謝りつつ説明しているスタッフに怒鳴りつけるお客様に対して、後日私が書いたのが先ほどのnoteです。

「そんなお客様には来ていただかなくてけっこうです」

「わざわざ」には「わざわざ」の常識があって、私たちはそのルールで動いています。

 私たちのスピリットは「全ては誰かの幸せのために」です。自分だけまとめ買いをして多くの人が買えなくなるよりも、みんなで分けましょうというのが「わざわざ」の考え方なのです。パンが買える喜びも、パンが買えない悲しみも、シェアするのが「わざわざ」なのです。

 それに納得ができず、スタッフに対して怒鳴りつけ、ほかのお客様をも嫌な思いにさせる人には来てほしくありません。「客に対して偉そうに何を言ってるんだ」と言う人もいるかもしれませんが、お客様がお店を選ぶことができるように、私たちお店側もお客様を選ぶ権利があるはずです。

 そんな内容のことを書きました。

書影『山の上のパン屋に人が集まるわけ』(ライツ社)『山の上のパン屋に人が集まるわけ』(ライツ社)
平田はる香 著

 お客様にはご迷惑をおかけしましたし、強い言葉だったので公開するときはドキドキしましたが、書いてよかったと思っています。

 そんな発言をすることには勇気がいるし、寿命も縮む思いで、全力で対応しなくてはいけないけれど、スタッフにも「あの記事を書いてくれてよかった」と言われました。「私たちのお店はこうですと、しっかりポリシーと自信を持って接客できた」と。

 どんな業界でも、お店がお客様に「NO」と言えることが、ふつうになればいいなと思います。

 どんなところにも、「自分のあり方」と「相手のあり方」があります。それがすれ違うことのないよう、店側とお客様側が望むことを一致させられている状況が、おたがいの満足度を上げ、心地いいコミュニケーションにつながるのだと思います。