IPビジネスの割合は連結売り上げの3%
まだまだ“ゲーム頼り”
「とはいっても、任天堂はゲーム主体からIPビジネス(キャラクタービジネス)にかじを切っているから、この先、Wiiのときのようなことにはならないんじゃないか?」という意見もあるでしょう。
任天堂が権利を保有する中で、特に有名なキャラクターは「ポケットモンスター(ポケモン)」と「マリオ」です。実は、TitleMax社が作成した世界のIPビジネスランキングを見ると、ポケモンは1位で、マリオは8位です。世界的なキャラの権利を二つも保有しているわけです。ミッキーマウスが4位、スターウォーズが5位、ハリーポッターが10位ですから、任天堂は非常に有利なポジションにいることは間違いありません。
そこで、二つ目の数字を見ていただきたいと思います。
2023年3月期の任天堂の売り上げのうち、「モバイル・IP関連収入等」として開示されている売り上げは約510億円です。これは、任天堂の連結売り上げの3%にすぎません。この3%というのが、二つ目の気になる数字です。
もちろん、2024年3月期には映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の成功分が上乗せされるでしょう。さらに、アメリカのユニバーサルスタジオでは、マリオのアトラクションが始まります。IPビジネスに任天堂が力を入れているのはその通りです。
しかし、ビジネスモデルとしてはキャラクターの価値回収は、ほぼほぼゲームに頼っているのが任天堂のメカニズムなのです。
ゲームが儲かり過ぎることが問題で、だからこそ社内では、そのことをどんなにわかっていても、ゲーム開発に力が入ってしまいます。本来であれば、IPビジネスの収入構成が全体の3割程度に到達するようにビジネスを横展開させるべきなのですが、それが遅れている。この点が、二つ目に気になる数字なのです。