世界のすばらしい空港ランキング世界2位(2022)など、その規模や安全性・快適性で世界的に高く評価されている羽田空港。その裏には多くのプロフェッショナルたちの活躍があった。中でも空港で最も身近な職種「グランドスタッフ」のリアルな舞台裏や、驚きの接客対応を元JALのグランドスタッフの作家がリアルにレポートする。
ゲートエリアが主戦場!?
搭乗手続きが済んだ乗客は、手荷物検査場を経て、搭乗ゲートが並ぶエリアに進みます。もちろん国際線の場合は、パスポートコントロール(入国審査や出国確認)を通過して、ゲートエリアに進みます。このエリアでの仕事を、グランドスタッフはゲート業務と呼びます。
比較的年次の若いスタッフもアサイン(業務を割り当てること)されやすいポジションです。その理由は、読んでいただければ納得できることと思います。
チェックインを完了した乗客は航空券と引き換えに搭乗券を手にして、ゲート(搭乗口)まで進んできます。しかし、成田空港や羽田空港などの大空港をイメージしていただけばわかるように、ゲートエリアは非常に横に広く、端から端まで数kmに及ぶことも。
海外ではモノレールで結ばれていることもありますし、羽田空港でも動く歩道をほぼ全域に設置し、乗客の負担を減らす工夫をしています。しかし、とくに日系のグランドスタッフは、動く歩道に頼らず可能な限り歩くという不文律があることも。
さて、そのような広大なゲートエリアで、もしも乗客がゲートを間違え、あるいは迷ってしまい、ゲートに現れなかったらどうなるのでしょうか。
このような乗客を GATE NO SHOW(ゲートに現れない)と呼び、グランドスタッフは全精力を傾けて捜索することになります。
ゲートは、通過するときに自動改札機に搭乗券を通すことで、データが集約し、搭乗予定の乗客のうち誰がまだオンボード(搭乗)していないのかを、ゲート脇のコンピューターで確認することができます。
ゲートは通常3名ほどの体制で担当します。そのうちの1人がそのフライトのゲート責任者となり、コンピューターを睨んでいます。残り5分で50名ほどの搭乗を待つ、というあたりから、プロの勘が発動します。