「要注意なのは、ご高齢のお客さま、お子さま連れのお客さまでしょうか。走るのが難しく、気づいたら出発時刻だった、となりがちな方々なので、できるだけ早い時点で見つけ出し、誘導をします。

 まずゲートのグランドスタッフに『5歳と3歳のお子さまを連れたお母さまの○○さま、70歳女性、おひとりさまでご搭乗の△△さま、お探ししましょう』という感じで、共有します。

 ゲートを1人が離れて、付近をお声がけしながら捜索します。

 人数が一桁になってくると、『○○にご出発の△△さま、当機は間もなく出発します』とお名前もお呼びしますね。

 それでも見つからない場合、たとえば搭乗券の座席番号をゲート番号と勘違いしていたり、近い時刻で違う航空会社の同じ行先のフライトがあれば、それと勘違いをしていたりする可能性を推理し、そのゲートに内線電話をします。

 運が良ければそこには別のスタッフがいるので、探しているお客さまの特徴を伝えます。3分前くらいになってくると、ノーショーしているお客さまに預け入れ手荷物がないかどうかを確認し、取り下ろしの準備に入ります。

 荷物を搭載しているグランドハンドリングスタッフに、無線で荷物がおよそ積まれているエリアや特徴を伝え、探しておいてもらい、ギリギリまで待つのです。あと1分、となると、いよいよ取り下ろしとキャンセルを決定する局面に来ます。

 この判断で、大げさにいえば荷物の個数や場所、貨物室のドアを閉める時間、最終的にオンボードした乗客の顧客名簿印刷、ドアクローズタイムが左右されるので、決して遅れるわけにはいきません。

 でも、『さあいざキャンセル!』という時間になったときに、無線で仲間のスタッフから『お客さま、○○番ゲートでミート(遭遇する・迎える)、今アテンド(案内)で向かっています!』と連絡があることも。

 もちろん、グランドスタッフはできればお客さまに搭乗していただきたいと思っていますので、なんとか定刻にオールオン(全員搭乗)させるためにスタッフ全員で必死にハンドリングします」(日系航空会社グランドスタッフ)

 また、グランドスタッフはゲートを歩いていて、直前にゲートが変更されたにもかかわらず、ポツンと座っているご高齢の乗客を見かけると、おせっかいにも搭乗のご予定を確認してしまうなども「グランドスタッフあるある」の模様です。

 全員が、基本的にいろいろなポジションを日替わりで担当しているので、空港のさまざまな状況を理解して、担当ポジションでなくても自発的に動くことができます。