航空会社は、多頻度顧客に向けて、マイレージサービスや、その会員ステータスに応じたサービスに力をいれています。リピーターになっていただくことが大切なので、素敵なデザインのタグをお贈りしたり、マイレージ会員カードの色をひと目でわかるように変えたり、お客さまの自尊心をくすぐるような仕掛けを考えるわけです。

 でも、なかにはそれをいいことに、空港に来ると豹変するお客さまも……。接客のプロであるグランドスタッフにも、ここだけの話ですが、苦手なお客さまというのは存在します。

 そこらへんの、なかなか口にしづらい実態について、こっそり現役社員に聞いてみました。

「長年この仕事をしていて、一番苦手なのは、やたらに横柄なお客さまですね。大体は会社のお金で乗っているビジネスマンです。チケットの種類はグランドスタッフにはわかっているので、会社で買うビジネス回数券のようなものだと、社名までわかってしまうことも。もちろん絶対に顔には出しませんし、口外もしませんが、内心では『○○社かあ、いばる方が多いなあ』と思っています(笑)」(日系航空会社グランドスタッフ)

 そして反対に、上級会員らしくスマートな旅を楽しまれている方は『さすが!』とスタッフの間でも噂になることも。そういう意味で、上級会員のお客さまは、お得。

 ちょっとしたお気遣いをいただくだけで、スタッフのリスペクトが集まるかもしれません。

「私たちは、ビジネスでご利用いただくリピーターのお客さまに支えられていることはよくわかっているので、基本はありがたく、また乗っていただけるように心を尽くして接客をしています。でも、横柄な方は人が変わったように威張るんです。空港・飛行機マジックでしょうか……? だから、マイレージの上級会員の方で、グランドスタッフに普通の対応をしてくれて、礼儀正しく会話をしてくださると『あの方感じがいいねえ』と評価はダダ上がりです。スタッフたちは、毎週のように乗る方はほぼ覚えているので、たとえばアップグレードできるときは優先的にご案内するなど、素敵な対応のお客さまには、いつものお礼の気持ちを込めて、それくらいの計らいをすることはあるかもしれません」(日系航空会社グランドスタッフ)

「大阪行きなどのビジネス路線で、旅慣れたお客さまに多いのが、せっかちでとにかく通路側、1列でも前に乗りたいお客さま。『もっといい席ないの?』と言いながら、モニターを覗き込んだり、向きを変えようとする方も。時間がないスタンバイカウンターで、我がもの顔で話かけ、いい席を探そうとするお客さまには、ほとほと困り果てています」(日系航空会社グランドスタッフ)

 このようなシーンでは、グランドスタッフに下駄を預けて、鷹揚に構えているのが得策ですね。