グランドスタッフは、ほとんどの空港で、早番・早番・遅番・遅番・休み・休みのパターンを基本としています。早番、とひと口に言っても、いくつものパターンがあり、4時台からの人もいれば、6時台からの人も。前月にシフトパターンが配られるまで、細かい時間はわかりません。このざっくりとした早番時間勤務が2日続くと、3日目は午後から出社の遅番パターンが2日続きます。

 20代のころ、まだまだ体力がありますので、早番はお昼すぎに終わるとなればそのあとはプライベートをエンジョイ、遊びに行く人がほとんど。夜の飲み会や、友達との約束の時間まで、仮眠をとる猛者も。

 なぜなら、翌日は遅番で、出社がお昼すぎなのです。これは絶好の夜遊びチャンス(笑)。同僚と誘い合って、美味しいものを食べにいったり、バーやクラブに、楽しんでいました。不思議と、航空業界に勤める者同士、制服を着ていなくても分かるもので「あ、あの子も早番終わりかな?」なんて思いながら、レストランで会釈をしていました。

 しかし意外にしんどいのがシフト後半。「遅番だからゆっくり眠れるでしょ?」と思われるかもしれませんが、前日に、夜明けのずっと前に起きて20時間くらい仕事と飲み会、と駆け抜けた翌日、なかなかに体力が減っています。

 もちろん完全に自己責任なので、決してそんなことは口に出さず、仕事に没頭。4日目、遅番の終わり、深夜に及ぶことも少なくないので、そんなときは燃え尽きています。

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佐野倫子 著

 そして翌日は疲れをいやすために眠り、睡眠リズムが今ひとつのところに、休日2日目、つまり早番前日。「明日は3時起きか……」と思うと、寝坊できないというプレッシャーと、体内時計が狂っているのでうまく寝付けないこともあります。

 平日が休みで嬉しい、という反面、グランドスタッフのシフト勤務はなかなかにハード。この働き方を5年以上続けられている人は、間違いなく体力があり、自己管理が得意な方です。クヨクヨしない、寝つきがいい、よく食べて、よく眠る。そんな健やかさが、一層重要な仕事といえるでしょう。

 蛇足ですが、お付き合いしている人が会社員で土日休みの場合、グランドスタッフの皆さんは、デートをするために涙ぐましい努力をしています。早番2日目や休日が、土日と重なるのを、グランドスタッフたちはとっても楽しみにしていたことを思い出します。