本稿掲載時、鹿児島で開催された日本糖尿病学会学術集会は無事終了しているはずだ。しかしその背後では、メディアに対するある対応が一部で話題になっていた。あらましはこうだ。
5月に入り、取材を事前申請していたメディアに同学術集会運営準備室からメールが届く。当初「無料」とされていた報道スタッフ(プレス)登録費が、なぜかウェブ取材に限り「有料」になるとの連絡だった。理由は記されていない。
とはいえ「プレス」向けの登録費が設定されているわけでもない。要は「非会員」としての参加登録要請であり、実態としては「プレスとしての登録の拒絶」である。働き方が多様化した今日、育児や介護のために家を長時間空けられない記者、あるいは時節上、健康への配慮から現地取材を断念するライターもいる。また今回のように遠隔地で開催される場合、取材費を節約したいと考えるメディアもあるだろう。糖尿病学会はそのような面々に「プレス登録」の道を閉ざしたかたちだ。
さらに「早期」受付期間内であれば1万5000円だった非会員登録費も、4月11日の登録期限を過ぎているため「後期」料金1万8000円を払う必要がある。ウェブ取材を予定していたメディアは、割引料金での登録機会をゆえなく奪われた。
「なぜ急きょ説明もなく有料化されたのか」、またこの選択的「有料化を決めた主体はどこなのか」。この2点を「準備室」である日本コンベンションサービスにメールで問い合わせたが、連休とはいえ1週間の猶予を持ってお願いした回答期限の5月8日になっても何ら返信はなかった。そこで本件をケーススタディとして、日本における医学会学術集会の取材規制について考える。