宿泊客が消えて、多くのホテルが経営難に陥った。では、需要が戻り、それに応じた接客スタッフを確保できれば難を脱することができるのか。否――。特集『ホテルの新・覇者』(全18回)の最終回は、表には表れない、隠れた大問題に迫る。客室清掃スタッフ不足が一流ホテルをつぶす日が来るかもしれない。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
コロナ谷間のチェックイン
「4時間待ち」も
感染者数の増減を繰り返す新型コロナウイルス感染症。2020年以降、ヤマ場と谷間が交互にやって来て、足元では第7波とみられる感染者急増の動きが出ている。
コロナ禍の谷間のたびに、行動自粛から解放された人々の旅行熱が高まった。週末のホテルでは、チェックインで1時間待ちが当たり前のように発生。中には「4時間待ちもあった」(ホテル業界関係者)という。
なぜこのようなことが起きたのか。
言わずもがな、ホテルを支えるのは接客スタッフだけではない。客室を整備する清掃スタッフが十分いなければ、現場はうまく回らない。
チェックインの大幅な遅れの原因はまさにそれ。高級ホテルであればあるほど、客室の快適さはマストだ。それにもかかわらず、ベッドメークを含めた清掃担当のスタッフの数が、急増した客室需要に追い付かなかったのだ。
こうして清掃スタッフの時給は高騰した。