ホテルの新・覇者#13Photo:PIXTA

ホテル供給過多といわれる京都だが、開発はなお活況。最高級クラスのホテルが焦点となり、もともとの主戦場だった東山エリアに加え、二条城周辺も熱い。開業後は運営力の勝負。どんな武器を持ち、どの勢力を味方に付けているかが鍵を握る。特集『ホテルの新・覇者』(全18回)の#13では、京都の最新ホテル勢力図をレポートする。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

二条城周辺に
三井とシャングリ・ラ

 京都市のラグジュアリーホテルはこれまで、一大観光地の東山エリアと、中心部から少し離れて自然の多い嵐山や鷹峯といった周縁部にしかなかった。そんな中で2020年、世界遺産である二条城(京都市中京区)の近くで三井不動産が「HOTEL THE MITSUI KYOTO」を開業した。

 開業したのは17世紀末に三井総領家(北家)の2代目当主三井高平が居宅を構えていた三井家ゆかりの地。藤田観光が京都国際ホテルとしていたのを、14年に閉館した後に阪急不動産がマンション建設を目的に取得、それを三井不動産に売却したという経緯がある。京都市が15年、国際観光都市にふさわしいホテルの誘致を切望する異例の要望書を出し、これを受けて阪急不動産がホテルを建設したい三井不動産に土地を売却したのだ。

 HOTEL THE MITSUI KYOTOは、三井不動産が運営する「ハレクラニ沖縄」と同様、世界有数のトラベルガイド「フォーブス・トラベルガイド」で最高評価の五つ星を獲得した。

 二条城周辺では他にも、香港に本拠を置くホテルチェーンであるシャングリ・ラ ホテルズ&リゾーツが「シャングリ・ラ京都二条城(仮称)」を25年に開業予定。ラグジュアリーホテルの新たな集積地となり、早くも混戦模様。もっとも、三井不動産やシャングリ・ラがプレーヤーに加わるという単純なものではなく、彼らの背後にはパートナーが存在する。

 次ページでは、京都におけるラグジュアリーホテル市場の裏勢力図を明らかにする。