8月2日、東京ドキュメンタリー映画祭と協賛するアジアンドキュメンタリーズが、それぞれ公式サイトでコメントを発表した。その内容は、7月末に急逝が伝えられた俳優が生前ネット上などで「告発」していた内容に関連し、名前が挙がっていた人物の辞任を伝えるものだった。異例の発表となったこの展開について、これまでの経緯をまとめる。(フリーライター 鎌田和歌)

俳優が急逝、
関係組織が異例のスピードコメント

 東京ドキュメンタリー映画祭の公式サイトで「本映画祭プログラムディレクターに関する問題の対応について」という発表が、同事務局の「スタッフ一同」名義で、8月2日に行われた。

 これによれば、映画祭のプログラムディレクターが事務局を辞任し、今後映画祭に関わる一切の業務を辞退することになるという。また、その理由は7月末に急逝が伝えられた俳優・映画監督が告発していた内容によるものだという。

 冒頭を引用すると、次の通り。

『2023年7月28日に、ご親族より逝去が伝えられた俳優・映画監督が、生前「K」という人物から性被害を受けたとの内容をご自身のTwitter(X)に投稿されていたことをめぐり、ここ数日、加害者とされる人物が、本映画祭のプログラムディレクターのひとり、金子遊であるとする言説がSNS等で伝えられる事態となりました。

事態を重くみた映画祭スタッフは、直後より金子への聞き取りを含めた事実関係の確認と、今後の対応に関する協議の場を持ちました。当人の説明によると、告発内容は事実ではないが「K」は自分を指しているのではないかと考えており、違法行為は無いものの「過去の不貞行為やそれにより彼女の心を傷つけたことは事実」として反省と謝罪の意を表明しました。その内容は7月31日、本人のブログにも掲載されています。

(後略)』

 この後、発表では、当人を除くスタッフ全員で話し合いを重ねた結果、被害を受けたと主張する人が亡くなった事実は重く、たとえ過去のことであっても「道義的責任」を取る必要があるという結論に至ったことが書かれている。

 性加害事件などを背景に、辞退や追及される騒動になることは近年増えているが、今回早い段階で関係機関がコメントを出していて、注目されている。一体何があったのか。